スコラ・グロリアその2  「運命」を振る少年たち

課題曲はベートーヴェンの「運命」

「運命」の出だし、といえばフルトヴェングラーを思い出す。

ぶるぶると震えながらあがっていく棒には、点がなく

オケメンバーは、いま出るかいま出るかと、指揮者とにらめっこしながら

弾くことに対するエネルギーを体に充満させる。

フルトヴェングラーが今だ!と閃く一瞬を感知して、さっと弓を動かす。


さぞ難しかろうと思った出だしのためは、

案外あっさりしたテクニックでみんな切り抜けていく。

中学生や高校生になると、向かい合っている音楽から何かをつかみ出そうとする、

自分の手でドライブしようとする力が左手のうごきや肩の表情に表れてくる。

大きな手のひらがものを言っている。

持て余していた腕の動きが自在になってくると

オケの出す音も変わってくる。

自分の声や音を出さなくても音楽をする、という感覚って

よくわからないけど、音楽に包まれるんだろうなぁ・・


結構豪快に仕上げて喝采を浴びていた大きな男の子も

近くで顔を見ればなんとなくかわいくて

勝手にお知り合いになった気分でご挨拶してしまった。

ふだんはおっちょこちょいのいたずらっこも

少年野球のユニフォームを着て試合に出るとすごくりりしくなる。

自分の真ん中にある大事なものって・・・だいじだよね。



こんなかたちで音楽に出会う経験ができるなんてすごい。

絶対忘れられない貴重なしあわせな経験だとおもう。

見ているほうも感動してしまう。


弦楽以外の楽器をピアノが弾いていて、チェレスタの入った曲みたいな

おもしろい音がしていた。

指導をしていたのが、マエストロ松村Jr.で、こちらがまたすごいすてきだった!

このつづきはまた次回。


この驚きと感動を誰かと分かち合わないとからだが焦げてしまいそう~

おつきあいくださいね。