土田先生の新曲がスタート。
細かなテンポの揺れに乗せて静けさと熱い感情が交錯する、大人の音楽ですね。
なんといってもピアノの音使いが独特の世界。ぞくっとします。
音の数がもの凄く多い(ピアノの)ので、作曲家から送られてきた楽譜は一枚がB4サイズ。
みんないろいろ工夫して製本してるのだが、スケッチブックに貼り付けたり、
クリアファイルを切り張りしたり、背表紙を加工したりと苦労のあとが見える。
若い人たちはA4に縮小してスマートに作ってるけど、やっぱり見えないもんね。
マエストロはというと、さすがにぴしっと端正な美しい楽譜に仕上がっていた。
楽譜の作り方にも性格やお人柄がでるのだろうか。
ピアニストの楽譜はそれこそ大変。
いつどうやってめくるのだろうと思うくらい、ウイングがたくさんつけられていた。
読み取るのでさえ難しいくらい音符が真っ黒に書いてあるので、見ているだけで気が遠くなりそう。
ピアノの蓋を全開にしてみると、中はほこりだらけ、錆びている弦が何本も。
酷い状態のピアノなのに、織田先生が弾くときらきらした音がするんですよね。
年末年始ずっと弾きこんでいらしたそうだ。
一瞬で消えてしまう記憶の宝石、その音色をもとめて、
孤独の中で音をさらうピアニストの書いた詩は、私たちの胸にもストレートに響く。
じっくりと大事に歌いこみたいですね。