ピアノが光の粒を紡ぎだす。
「麦藁帽子」は、まだ幼くて柔らかいいたいけな命がきらきら輝く情景。
幼子は時を経て妻となり、美しく歓びに満ちた日々も、胸をえぐるような懊悩も知ることになる。
コンクールの3曲、ホールの響きの中で通して歌ってみると
なかなかにドラマチックで、さまざまな場面が頭の中を駆け巡る。
こんな曲に出会えてしあわせだなぁと思う。
私たちはそれをできるだけいいものにして聴く人に伝えなければならないので、
筋肉も神経もあちこちバリバリに張りつめているけれど
この心の中がざわめくような感じがたまらなく心地よい。
今年もコンクールが巡ってきた。
去年まで一緒に歌っていたメンバーとの突然のお別れ
振り返ってはいけないと思いながらも忘れたことはない。
私たちは少しでも前に進めただろうか、血を濃くすることはできたのだろうか。
いつものように笑顔で一生懸命歌うので、聴いていてね。